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イノベーション、ブレークスルー、スタートアップ、起業、新規事業、ベンチャー企業、週末起業、独立に関する考察・ニュース・書評・読書感想

[本]生活者視点で新規事業を今一度考える「機会発見――生活者起点で市場をつくる」

新規事業の種をどうやってみつけてくればよいのか。新規事業担当者が日々ため息をつきながら、思い悩んでいることだと思います。特にB2Cでは、生活者の課題。そこに新規事業のシーズが潜んでいる。そう思っている方も多いと思います。

日々、B2Cでの新規事業創出を目指している方、生活者分析を起点として、新しいビジネスを考えて行きたい方、既存製品をこれまでにない新しいインサイトをもとに、変えていきたい方。そんな方に読んでほしい本です。

この本の作者である岩嵜さんは10年近くに渡って、これまでにない新しい製品やサービス、事業を作るにはどうしたらよいかを考え続けた方です。それを考え、実践して、また考えを続けて、編み出されたのがこの本です。岩嵜さんの経験に裏打ちされた内容となっています。

機会発見には3つのアプローチが重要だと言われています。

「MECE]ではなく、「枠外の視点」を探索する
「定量情報」ではなく、「定性情報」を収集する
「分析」ではなく、「統合」する

アタマが良い人、分析が得意な人は、新しい問題を見つけた時には、とかくMECEで考えようとします。既存製品の延長を考えていく場合は、それでもよいのですが、新しい事業、これまでの枠にはまらない事業を考える場合は、それではだめです。枠外の視点。それが重要となってきます。

また、これまで既存製品のマーケティングに関わってきた人はとかく、定量情報に着目します。訂正情報は所詮は限られたNによるもので、必ずしも十分な情報とは言えません。そこで、定性的に受容性を評価することにいきがちです。しかしながら、そもそも新しいものの重要性はなかなか限られたアンケート調査ではわかりません。そこで、新規事業ではデプスインタビューなど、訂正情報が重要となります。

また、いくら現実の情報を頑張って分析しても、行き着く先はありきたりの結論。いろんな会社がやっている事業にいきつくだけです。それよりも、よくあるアイデアだとしても、それらを組み合わせて、統合して、新しいアイデアを見つけていくことのほうが重要です。

ぜひ、新規事業のやり方で悩まれている方は、一度手にとって読んでみると、これまで学んだことを整理しつつ、新しい発見がある本です。


[起業本読書感想]お客様のことを考え抜くことこそが重要「個人で稼ぐ力: スモールビジネス起業のすすめ」

生涯現役で働いていく1つの大きな手段が独立して働いていくことです。独立して働くことで、定年は自分で決められます。しかしながら、本当に自分1人で稼いでいけることができるかと思うサラリーマンは多いのではないでしょうか。

今日は下記の本の1節の紹介です。


個人で稼ぐ力: スモールビジネス起業のすすめ

 

この本では、著者である板羽 宣人さんが実際にスモールビジネスを始めてみて、その実感や成功の秘訣について述べられています。印象に残っているのは下記です。

当時の私の努力は独りよがりのものであり、お客様のことを本当に考えたものではありませんでした。それまでは心のハードルが低い、つまりは自分が気持よくできる作業しか努力していなかったのです。えてして、お客様が求められていることは心のハードルが高いことが大半です。

起業してみて、手持ちのお金がなくなってきていて、何も努力をしない人はほとんどいないと思います。しかしながら、そこで努力が間違った方向の場合は、いつまでたっても光明は見えてきません。

大事なことは、お客様について考え抜き、知りぬき、お客様になることに努力を集中することです。人の心情としては、どうしてもやりやすいことをやり続けてしまう傾向があります。その気持ちは私も同じです。やりやすいことでも、ずっと続けていると多忙な日々となり、努力しているつもりになります。

こんなに努力しているけど、なぜ成果が出ないのか。天は私を見捨てているのか。そう思った経験はおそらくみなさんあるのではないでしょうか。

そんな時、一度振り返ってみて、本当にお客様のためになることに対して、優先順位を高めているのか考えてみる必要があります。

 


個人で稼ぐ力: スモールビジネス起業のすすめ
著者:板羽 宣人

【目 次】——————–
はじめに
第1章 公務員からの起業
第2章 場所にとらわれない生き方
第3章 安定した収益を生み出すビジネスモデル構築
第4章 失敗した事業とその理由
第5章 順調に伸びている事業とその理由
第6章 結果を出すのに必要なのは「商人の心構え」
第7章 すべては人のつながりから
第8章 自分で稼ぐ力
おわりに

【著者紹介】——————–
板羽 宣人(いたば のりと)
株式会社ベビログ 代表取締役。1974年生まれ。
地方公務員を8年勤めたのち2006年起業。ネットショップ、地域コミュニティサイト、ブログメディアなどホームページを自社運営する一方、その運営ノウハウをもとに、企業のコンサルティングを請けおっている。季節に合わせて家族で住む場所を変える家族ノマドを実践。


[起業本読書感想]読んで考える時間の大切さを学ぶ「1億円の壁を越えるビジネス思考: 年商1000万円に満たない会社の売上を数年で10億円にまで成長させたノウハウを初公開!」

kindleunlimitedだったこともあり、 船ヶ山哲さんの「1億円の壁を越えるビジネス思考: 年商1000万円に満たない会社の売上を数年で10億円にまで成長させたノウハウを初公開!」を読みました。

タイトルはいかにもキャッチコピーという感じですが、書いてあることは基本的な心構えの内容が多いです。

個人的に印象に残ったのは下記です。

考える時間を持たないと、優先順位が分からなくなりますし、いつの間にか意味もないものに時間を使うようになってしまいます。

本当に重要と思いながらもできない内容です。自分はいろいろ考えている気になっているが、考えていないことが多いです。

例えば読書。自分は本を読んで著者の考えを知り、いろいろ本を読んでいる間に考えているものだと思っています。そのため、活字中毒のごとく、常に本を持ち歩いて電車などで読んでます。

しかしながら、実際そこで読んだ内容をもとに、自分の人生の指針や優先順位、方向性についての考えが出ているかというとほとんどありませんでした。下手すると、おもしろい本だという記憶があるにもかかわらず、その内容を他の人に話せなかったりします。

私がブログを始めた理由は少しでも考えて、活字化していくことが理由です。アウトプットをすることは、ある程度考えなければできないです。

ブログにもかかわらずもっと、考える時間を今後は確保していきたいと思います。

<目次>
はじめに

第1章:ビジネスが拡大し続ける人に共通する経営思考
1. 知らないでは済まされない、間違いだらけのビジネス選び
2. ビジネスHighになる瞬間を作り続ける
3. もう半歩が1年後の未来を大きく変えていく
4. 「多展開はリスク分散になる」のウソ

第2章 今すぐ身につけたい売上1000万突破のためのマネー哲学
1. ビジネスを蝕むお金の使い方
2. 食べ物さえも投資として考える
3. 支払い上手=ビジネス上手
4. 預金残高 =独立後の余命期間

第3章: 出来る経営者に求められる一流のスピード感覚
1. 即決力は練習でどうにでもなる
2. ビジネスは未完成が丁度いい
3. なぜ、時間がない程、ハイクオリティーなものが出来るのか?
4.「追われる毎日」を「追いかける毎日」に変える

第4章: あなたの行動を邪魔する5つのブレーキ
1.【批判】一流にならなければ批判すらされない
2.【恐怖】怖いと思った瞬間、迷わず『YES』
3.【モチベーション】あなたのモチベーションを下げるスイッチ、上げるスイッチ
4.【負のスパイラル】努力するほどマイナスに陥ってしまう時の対処法
5.【こだわり】質へのこだわりを手放す

おわりに

<プロフィール>
船ヶ山哲
マーケティングコンサルタント、作家
企業のWebマスターとして、年間1000万円にも満たない会社の売上をわずか数年で10億円にまで伸ばした実績をもとに独立。
世界各国に上場企業から中小企業、個人事業主まで300社以上のクライアントを持ち、1年以内に売上を飛躍させるマーケティングと顧客が集まり続ける集客の仕組みづくりを得意としている。アナログ媒体とオンラインのクロスメディア戦略に長け、業界No1の地位を築いている。
日本とマレーシアのデュアルライフを送り、子どもの教育に力を入れており国王のご子息も通うインターナショナルスクールに通わせている。
著書に、『売り込まずにお客が殺到するネット集客法』、『大富豪から学んだ世界最強の儲けの教え』などがある。
出演メディアには、雑誌「THE21」、「経済界」、「日刊ゲンダイ」FMラジオ「シック、すっく、シュクル」。FMラジオ「船ヶ山哲のラジオセミナー」のパソナリティーを務め、インターネットラジオ「マーケティング思考」を配信中。


[経営本読書感想]新規事業を作るということはどういうことか「真経営学読本」福島正伸

[対象読者]新規事業を志、経営とは何かを学びたい人

大学卒業後、様々なビジネスを立ち上げ、その後、アントレプレナーセンターを立ち上げた福島さんの集大成と成るような本「真経営学読本」を読んで、印象に残った点をとりあげます。今日は新規事業を作るということはどういうことかを考える一節を取り上げます。

既存のマーケットでがんばることと、新しい事業を立ち上げることの違いを下記のように、福島さんは述べています。

それは「何のために」その事業をするのかということです。もし「業績をあげるため」だとしたら、既存のマーケットのほうがいいでしょう。しかし、「より良い社会をつくるため」とか「困っている人の役に立つため」と言うのなら、新しいマーケットに挑戦してもいいのではないかと思います。私は、マーケットより優先するものを「使命」と呼んでいます。

通常は今あるマーケットで戦っている方が業績を上げる可能性が高いです。それは、すでにマーケットがあるとわかっているし、それを強化したり、コストダウンする方が業績はよくなる可能性が高いです。

一方で、新しい事業を立ち上げるということは、本当にマーケットがあるか、事業を通して初めて確認することになります。よって、想定と異なりうまくいかないケースがほとんどとなります。

それでも新規事業に取り組むのは、福島さんがおっしゃる通り、「より良い社会をつくるため」とか「困っている人の役に立つため」というような「使命」を持っている時だけです。儲かろう思うならば、既存のマーケットでがんばった方がよいからです。

そう考えずに、既存マーケットの収益が落ちたとか、事業ライフサイクルが落ち目であるとか儲けようという発想で新規事業をはじめると失敗します。

新規事業とは、社会のためになることを、失敗を恐れず挑戦するということを意味しているのです。

 

 

真経営学読本
福島 正伸

目次
学生時代
失敗の連続
三つのポリシー
世界中の起業家との出会い
真経営用語辞典の誕生
最幸の結果が出るようにしか考えない
人間学としての経営学
企業
最高の商品
権限〔ほか〕
著者紹介
福島正伸[フクシママサノブ]
アントレプレナーセンター代表取締役。1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、さまざまな事業に挑戦し、1988年株式会社就職予備校(現・アントレプレナーセンター)を設立。代表取締役に就任。通産省産業構造審議会委員をはじめ、数々の委員を歴任。自立創造型相互支援社会を目指し、自立型人材の育成、組織の活性化、新規事業立ち上げ、地域活性化などの支援を続けている。これまで、二五年以上にわたって、日本を代表する大手企業、ビジネススクール、全国の地方自治体などで、のべ三〇万人以上に研修、講演を行う


[起業本読書感想]起業の現実はこれだ!ノウハウがつまっている「起業を考えたら必ず読む本」井上達也

[対象読者]生涯現役を目指す上で、起業を考えている人

生涯現役で働き続けるということを考えたときの一つの選択肢として起業があると思います。起業に関する下記の本を読んだので考察したいと思います。

この本のよいところは、起業のリアルが書いてあるところです。夢のあるような話というよりも、起業の現実はこうだという内容が書かれています。

起業本について、下記のように井上さんは述べています。

今まで多くの起業の本を読んで、大きな夢を膨らませている皆さんには大変恐縮なのですが、ほとんどの本に『本当のこと』が書かれていません。

その理由として、起業本の多くは、大学教授やコンサルタントなど、実際に会社を起こしていない人が書いているからだと井上さんは言っています。実際に本当に起業し、かなり地獄をみた井上さんだから書ける内容となっています。

例えば、会社を辞める前にクレジットカードを作っておいた方がよいとか、地銀、信金との関係づくり、お金の借りるタイミング、支払い条件にまで記載が及びます。まさに、リアルな話です。

井上さんはお金が溜まってから起業するのではなく、今あるお金でできる起業をすることを勧めています。やはり、サラリーマンとして活動するということと、社長としての活動は違うのです。起業をするならば、サラリーマン感覚を抜くことが最初の一歩となります。

さらに、井上さんのもともと働いていた会社は起業家意識が高く、多くの人が起業したのですが、その起業家として残っている人とそうではない人の違いを下記のように述べています。

では、倒産してしまった人たちの共通点は何だったのでしょうか?
すべての人が自分に甘かったのです。

厳しい言葉ですが、これが起業の現実だと思います。これぐらいでよいかと手を抜き始めると結局のところ、それが失敗の原因となります。また井上さんは、次のように述べています。

人間として欠陥があると言われてもしかたがありませんが、「起業家は仕事以外のことをしてはいけない。」と私は思うのです。

井上さんが言うには、他の人が8時間労働ならば、自分は16時間働き、他が1時間かかることを30分で終わらせる。そうしないと勝ち残っていけない世界です。

テスラモーターズやスペースXを経営するイーロン・マスクの言葉に、他が週50時間働くなら、自分は週100時間働くという言葉があります。

自分に甘くならず、ストイックに事業を極めることこそが、起業で生き残っていく方法なのです。

 

起業を考えたら必ず読む本
井上 達也

内容説明
起業したその日から訪れる多難、ワナ・詐欺・乗っ取り…を見抜け!実際に起業し、会社を大きくした社長だけが知っている実践的アドバイス。
目次
第1章 起業を思い立った時にすること
第2章 会社を辞める前にしておくこと
第3章 会社の設立、本に書かれていないこと
第4章 会社を作ってはじめにやること
第5章 起業後の会社経営とは?
第6章 起業家の失敗例を知る
第7章 熟年起業について考える
第8章 起業して成功するためのヒント
著者紹介
井上達也[イノウエタツヤ]
1961年生まれ。株式会社フリーウェイジャパン代表取締役。株式会社日本デジタル研究所(JDL)を経て1991年に株式会社セイショウ(現、株式会社フリーウェイジャパン)を設立。当時としては珍しく大学在学中にマイコン(現在のパソコン)を使いこなしていた経験と、圧倒的なマーケティング戦略により、業務系クラウドシステムでは国内最大級のメーカーに急成長させる。中小企業のITコストを「ゼロ」にするフリーウェイプロジェクトは国内の中小企業から注目を集め11万ユーザー(2016年9月現在)を獲得


[書評]大前研一さんの新しいものを生み出すゼロイチの方法を知る「「0から1」の発想術」(おすすめ新規事業本)

「0から1」の発想術

[おすすめ読者]大前研一さんの新しいものを生み出す発想術を知りたい方、大前研一ファン

戦略的自由度とは、戦略を立案すべき方向の数のことである。具体的には、ユーザーの目的を満足させる方法をできるだけたくさん抽出し、その中から競争相手が追随できない戦略的に優位になる方策、かつ持続できる方策を講じることだ。

(中略)
では、戦略的自由度を確保するためにどういう問いが有効か。
「ユーザーが求めているものは、何ですか?」
「私たちは、それを十分提供していますか?」
「ユーザーが満足していない部分の原因は何ですか?」
「それを解決するには、どういう方法がありますか?」これらの問いを、この順番でぶつけていくのがよいだろう。こういった思考の道筋によって、正しいゴールが導かれるのである。

大前研一さんの説明はいらないかと思います。その大前研一さんが、0から1で新しいものを産むための発想術を記載したものです。例えば、「戦略的自由度」とはどういうものか、それを実際のビジネスにどう活かしたらよいか、具体例を交えながら、語っています。

大前研一さんのファンや新しい事業や起業したいと思っている人は、必読の本だと思います。

先進事例のカンニングが新しいものを産むのに重要

大前研一さんは早送りの発想について、次のように述べています。。

これから説明する「早送り(Fast-Forward)の発想」は、まさにいかにして「カンニング」するか、という話である。
新しい概念というものは、実はすでに存在していることが多い。きちんとした形になっていなかったとしても、その「萌芽」は必ずある。それが大きなうねるとなった時に顕在化するだけなのだ。つまり、かつての日本人がわずか数丁の火縄銃に萌芽を感じ取り、それを取り組んでいったように、今、セカチュウのどこかで起こっている「先行的な事例」や「先行的な起業」、「あるいは「先行的な個人」をキャッチし、それをカンニングして自分のものとする。これが「早送りの発想」の根本だ。

大前研一さんは、その方法として、グーグルやデロイトテクノロジーFast500などを参考にすることをすすめています。これは、変化の早い最先端分野のビジネスを行っていく場合には、とても重要だと思います。

日本企業の先進事例はよく聞きますが、分野によりますが、多くの先端分野はアメリカから出てきます。その先進事例をよく研究し、本当にこれからくるトレンドが何かを研究していくことの積み重ねが、新しい波に乗れる方法です。

 本書で感じたこと

非常におもしろい発想術がいくつかありしたが、まずは「早送りの発想」として、いろいろ健康サービス関連企業を調べて分析していきたいです。まずはデロイトテクノロジーFast500の企業を分析し、このブログでも紹介していきたいです。


「0から1」の発想術

著者:大前 研一
出版社:小学館
発売日:2016/4/6

<目次>
基礎編 「0から1」を生み出す11の発想法(SDF/戦略的自由度―消費者のニーズを正しくとらえるために;アービトラージ―情報格差こそビジネスチャンスになる;ニュー・コンビネーション―「組み合わせ」で新たな価値を提案する;固定費に対する貢献―「稼働率向上」と「付加価値」の両立を;デジタル大陸時代の発想―高速化した変化のスピードについていく方法;早送りの発送―「兆し」をキャッチする重要性;空いているものを有効利用する発想―Uber,Airbnbもこの発想から生まれた;中間地点の発想―「業界のスタンダード」を捨てる;RTOCS/他人の立場に立つ発想―「もしあなたが○○だったら」が思考を変える;すべてが意味することは何?―発想の飛躍が息の長いビジネスを生む;構想―あなたには何が見えるか?)
実践編 「新たな市場」を作り出す4つの発想法(感情移入―ユニ・チャームはなぜ女性に受け入れられたか;どんぶりとセグメンテーション―大ヒットシャンプーの裏にあった考え方;時間軸をずらす―「コスト」がネックになった場合の対処法;横展開―他の業界にこそ成長のヒントはある)
<著者紹介>
大前研一[オオマエケンイチ]
1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、72年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、94年退任。以後、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして幅広く活躍。現在、ビジネス・ブレークスルー(BBT)代表取締役、BBT大学学長などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



[書評]未来を先回りのために知っておきたい「シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来」(おすすめ未来予測本読書感想)

シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来

[おすすめ読者]米国最高情報機関による世の中のメガトレンドの分析による未来予測が知りたい方

未来は予測できるのでしょうか―私はよくこう聞かれる。もちろん答えはノーだ。未来を映し出す水晶の玉はどこにもない。しかし将来に向けて計画を練るくらいの手がかりはある。ドワイト・アイゼンハワー大統領は「計画自体に価値はないが、計画を練ることが重要だ」と言った。たとえ厳密な予測はできなくても、未来を体系的に捉えることは、未来に備える助けになる。

マシュー・バロウズさんは、米国の最高情報機関であるNIC(国家情報会議)の元分析・報告部部長です。5年に1回米国がでしている『グローバル・トレンド』の2025年、2030年版を担当しました。歴史学の専門家で、CIAで長く活躍されています。

米国は今後15年の世界のメガトレンドをどのように見ているか知りたい人は、一読をおすすめします。

中間層の台頭が政府にプレッシャーをかける

マシュー・バロウズさんは、中間層の台頭による政治への影響について次のように述べています。

だが、新しい国家が台頭している背景には、もっと大きな構造的変化、つまりパワーの性質の変化やパワーの拡散が起きている可能性がある。このパワーの拡散を引き起こしている最大の主体は、国家ではなく個人だ。新たに中間層に加わり、新しいテクノロジーによってエンパワメントされた無数の個人が、ボトムアップ型のダイナミクスを浮いだして、パワーの拡散を引き起こしている。もっと室の高い行政サービス、もっと大きな経済的安定、もっときれいな環境、もっと大きな安全を求める大衆の声に、各国政府はたじたじとしている。だから国家に起きていることを理解するときお、パワーの拡散という大きなトレンドを軸に考えてみたい。

現在、中国などの新興国の一人あたりのGDPが高くなり、中間層が増えています。中間層が増えると、政府へのプレッシャーが高まるとのことです。確かに、日本も中間層が増え始めたころに政治運動が高まりました。中国でも農村よりも都市部の方が、中国政府への不満は大きいそうです。

もう1つの要因として、その国の平均年齢の重要性をあげています。テロなどが起こるのは若年層が多い国や地域に多いということをマシュー・バロウズさんは指摘しています。よって、現在テロが多い地域も高齢化が進むことで、テロは減っていくことが予想されます。

中間層割合や平均年齢のようなマクロデータがテロや政府への運動に関係しているのは、初めて知りました。テロとは宗教とか、そういったものの要因だけで起きていると思っていました。今後は、マクロデータの大きな変化が政治も含めて、どう影響するかを考えていく必要がありそうです。

 本書で感じたこと

マクロデータが世の中にどのように影響を与えるかを知ることは、マーケッターや未来を作っていく人にとっては必須の内容です。ただ、その洞察力は、本書を読んで、全然足りなかったことがわかりました。今後は、自らも考察しながらも、各国の専門家による情報収集も行っていきたいです。


シフト

著者:マシュー・バロウズ (著), 藤原 朝子 (翻訳)
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2015/11/20

<目次>

分裂する「21世紀」の世界
第1部 メガトレンド―未来への大転換はすでに始まっている(「個人」へのパワーシフト―2035年へのメガトレンド1;台頭する新興国と多極化する世界―2035年へのメガトレンド2;人類は神を越えるのか―2035年へのメガトレンド3;人口爆発と気候変動―203年へのメガトレンド4)
第2部 ゲーム・チェンジャー―世界を変えうる四つの波乱要因(もし中国の「成長」が止まったら―世界を破綻に導くシナリオ1;テクノロジーの進歩が人類の制御を越える―世界を破綻に導くシナリオ2;第3次世界大戦を誘発するいくつかの不安要因―世界を破綻に導くシナリオ3;さまようアメリカ―世界を破綻に導くシナリオ4)
第3部 2035年の世界(「核」の未来;生物兵器テロの恐怖;シリコンバレーを占拠しろ)
新たな世界は目前に迫っている
<著者紹介>
バロウズ,マシュー[バロウズ,マシュー] [Burrows,Mathew]
アメリカの最高情報機関であるNIC(国家情報会議)の元分析・報告部部長。直近の2号である『グローバル・トレンド』(2025/2030)で主筆を担当。ウェズリアン大学(学士号)とケンブリッジ大学(博士号)で歴史学を学ぶ。1986年にCIA入局。2003年にNICに加わる。28年にわたって国家情報アナリストとして活躍。リチャード・ホルブルック国連大使の情報顧問を務めたこともある。2013年に辞任し、現在は「アトランティック・カウンシル」戦略フォーサイト・イニシアチブ部長を務める。ワシントン在住

藤原朝子[フジワラトモコ]
学習院女子大学非常勤講師。フォーリン・アフェアーズ日本語版、ロイター通信などで翻訳を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



[書評]南場さんのベンチャーはこうして起業され、大きくなった「不格好経営―チームDeNAの挑戦」(おすすめスタートアップ本読書感想)

不格好経営

[おすすめ読者]ベンチャー企業を立ち上げたいと思っている方

世の中のほぼすべての人が知っている「言うとやるのでは大違い」というのを、年収数千万円のコンサルタントだけがうっかりするというのは、もはや滑稽といえる。しかもコンサルティングで身につけたスキルや癖は、事業リーダーとしては役に立たないどころか邪魔になることが多い。今でも苦しみながら「unlearning(学習消去)」を続ける毎日だ

南場智子さんは、DeNAの創業者であります。その経歴も、世界大手コンサルティングファームであるマッキンゼーで大前研一さんの薫陶を受けて、成長しているというピカピカのキャリアをもちます。

そんなエリートのようにみえる南場智子さんがDeNAの起業の様々な出来事について、自分のアホさもさらけ出しながら、起業の実態を語った貴重な本です。

起業に興味があるけど、起業ってどういうものか興味がある人は必読でしょう。

7人のトップ起業家と28冊のビジネス名著に学ぶ起業の教科書前記事参照)の推薦本でもあります。

危機の中で起業家がとるべき行動

当初オークションサイトを立ち上げようとして、起業した南場智子さんですが、そのリリース直前で、システム開発の会社が全然システムができていなかったことに気付き、寝ていた旦那に相談した時の旦那のコメントです。

パニックのなかで要領を得ないながらもなんとか全容を話し終わると、旦那は3つのことを言った。
1諦めるな。その予算規模なら天才が3人いたら1ヶ月でできる。
2関係者、特にこれから出資しようとしている人たちにありのままの事実を速やかに伝えること。決して過小に伝えるな。
3「システム詐欺」という言葉をやめろ。社長が最大の責任者、加害者だ。なのにあたかも被害者のような言い方をしていたら誰もついてこないぞ。

非常に的確なコメントです。重要なことは、諦めないこと、周囲に正直であること、社長がすべての責任をもつことを述べています。

起業や新規事業に携わるものにとって大事なことは、まずは諦めないことです。順風満帆な起業や新規事業なんてものはあまりなく、だいたいこれで事業も終わりかと思うようなイベントなどは多々あります。

本当にそこで終わってしまうこともありますが、大抵は諦めることさえしなければ、なんらかの道が存在するものです。

周囲に正直であることも重要です。もちろん、その後、うまくいって、思ったより悪くはならない可能性もあります。しかしながら、1度目はともかく、2度期待を裏切るとそこですべてが終わってしまう可能性があります。そのリスクをどう考えるかが重要です。

3つ目は、すべて自己責任だと思うこと。起業家の絶対条件ですね。これがない人は起業家やマネジャーに向かないです。

経営者はどのように会社を運営するのか

南部智子さんは、経営哲学について、次のように述べています。

熟達した経営者は、経営哲学や基本的な考え方があらかじめしっかりできていて、それに照らし合わせて会社を運営するのだろうか。私の場合は、経営者とはなんぞやということすらうまくつかめていない状態で起業してしまい、そのときそのとき、どうするべきかを無い知恵を絞って考え、必死で駆け抜けてきたという感じだ。そのため、完成した経営哲学などない。

南部智子さんは完成した経営哲学などないと言います。多くの人は初めて立ち上げる会社で経営哲学なんて持っていないことが普通です。仮にあっても、実際経験してみると、机上の空朗だということが実感することが多いです。

起業とは、会社経営とは何かがわからず、その場その場で知恵をしぼってなんとかいき、それをずっと続けることによって、初めて経営哲学ができるものだと思います。

実際の起業では、すごい経営者でも徒手空拳でがんばってきたのだということがわかります。経営哲学なんて、起業する前にないのは当たり前なのです。

意思決定を継続討議にしないことが重要

南部智子さんは意思決定について、次のように述べています。

突発事象に伴う意思決定も多い。話をよく聞き、議論を尽くして自分の責任で決める。

この意思決定については、緊急でない事業も含め、「継続討議」にしないということが極めて重要だ。

継続討議はとても甘くてらくちんな逃げ場である。決定には勇気がいり、迷うことも多い。もっと情報を集めて決めよう、とやってしまいたくなる。けれども仮に1週間後に情報が集まっても、結局また迷うのである。

これは結構決意のいることです。ビジネスは限られた情報の中で意思決定していかないといけません。限られた情報しかないので、論理的に正しい結論を出すのは難しいです。そうすると、もう少し情報を集めてから、もう少しじっくり検討してからとなりがちです。

しかしながら、最初に抱いた直感が正しいことが多いものです。事業はスピードが大切であることが多いです。特に新規事業やベンチャーなら経営のスピードが生命線です。厳しいですが、このような覚悟で望むことが必要だと思います。

自分を賢く見せようとするのは経営者にはマイナス

南場智子さんは、コンサルティング会社で経験のある人の問題点として、次のことを指摘しています。

これらのほかにも、若くしてコンサルティング会社に身を置くことで事業にマイナスな癖を拾ってしまうこともある。

まずできる限り賢く見せようとする姿勢知らず知らず身につけている人が人が多い。これは事業では一線の得にもならない。会社を経営しているといくつもの修羅場をくぐる。自分のアホさをさらけ出してでも助けてもらわなければ切り抜けられないことがあまりにも多いのだ。

これは事業会社で多くの人を巻き込むような仕事をしている人も経験があることだと思いますが、必ずしも賢く振る舞うことがプラスにはならないということです。

若い時代はいかに自分を賢く見せてすごくみせようという気持ちがはやります。プレイヤーとして活躍している時代はよいですが、多くの人を巻き込んで進める場合には、メンバーや職種によるかもしれませんが、自分をいかにさらけ出していくかが重要です。

アホさをさらけ出すこと。そういった愛嬌というか人間味があふれるようなことが重要となってきます。

本書で感じたこと

これだけ成功し、賞賛されている南場智子さんでさえも、スマートというよりも、いろいろな苦難や失敗を繰り返し、今に至っています。これは、我々のような未熟なものが一歩を踏み出すための心の支えになります。

起業。かっこよさそうにみえて、アホで無様なものなのかもしれません。新規事業もそんな感じですが。


不格好経営

著者:南場 智子
出版社:日本経済新聞出版社
発売日:2013/6/11
スタートアップ、ベンチャー、DeNA、マネジメント

<目次>
第1章 立ち上げ
第2章 生い立ち
第3章 金策
第4章 モバイルシフト
第5章 ソーシャルゲーム
第6章 退任
第7章 人と組織
第8章 これから



[書評]脱サラ起業を考えた時に現実を知る本「僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語」(独立起業本読書感想)

起業をするために必要なもの、起業した場合のその実態について、情報を調べたくなり、本書を読んでみました。



僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 (自分のビジネスを始めたい人に贈る二〇のエピソード)
著者:和田一郎
出版社:バジリコ
発売日:2015/9/18
起業、個人事業


著者である和田さんは、大手百貨店で18年間勤めた後に、42歳で脱サラし、新しい事業を作ってきた経験のある方です。本書は起業で大成功をした英雄の話ではなく、和田さんが苦心で作り上げてきた事業を通じて、起業の実態はどういうものかを記した一冊です。失敗した苦い体験も多く示しており、リアルの起業・脱サラとは何かを感じることができました。

事業プランの失敗

最初に和田さんが作った事業プランの失敗について、下記のように述べています。

要するに、僕のような担当者を主たる顧客像と考えていたことが、最大の間違いであった。
僕はなぜ最も身近にいた見込顧客の同僚や部下に最初に話を聞かなかったのだろうか。

自分の考えた事業プランは、とかく完璧なものだと感じてしまうものです。それは、時間をかけて練り上げたものなので、感情的には仕方がないことでもあります。しかしながら、どうしても一人で作ったプランは思い込みが入ってしまいます。本書では、百貨店時代にバリバリ活躍していた著者にとって必要となる事業を考えたんですが、実際には、そこまでバリバリ活躍できる百貨店の顧客候補はいないことに後から気づいた時の回想です。いかに、見込顧客に自分のプランを聞いて回ることが必須かがよくわかります。

お客さん候補から意見を聞く難しさ

ただし、和田さんは、下記のように、見込み顧客に聞くことの難しさも述べています。

当初、僕のプランを聞いた人たちは、さほど反対はしなかった。だが、いよいよ追い詰められた僕が、その返答次第ではすぐに申込書をつきつけかねないというリアルなところまでいって、やっと、自分は使わないという本音を聞かせてもらうことができたのだ。

これは実際に自分も感じることです。ヒアリング相手も悪い気があって、このような対応をとっているわけではありません。新しいことに熱意を持って挑戦している人を見ると、多くの人はそのプランを否定せずに、応援してしまうという心のやさしさがあります。ただし、その心の優しさが事業プランにとって後々爆弾として破裂する可能性も高いです。そのような経験も私自身してきました。私自身もこれまで新しいことに取り組んで、ヒアリングをしている時にも、このような対応をとられることがあり、よく、「持ちあげなくてもいいから、本音で言って」とか、よく言った記憶があります。ただ、それでも本音で課題や問題点を指摘してくれないことも多いですが。

どのような事業をしていくべきか

起業して、どのような事業をしていった方がよいかについては、和田さんは、下記のように述べています。

だが、本に書いてあるように自分のキャリアや趣味を棚卸しし、そこから可能性を探ろうとしても、僕のように堂々巡りになる場合が多いのではないかと思う。僕の商売のネタを探す旅はまだ続くのだが、理詰めで考えているだけでは、僕のように辿り着けない場合が多いように思う。
とにかく行動してみる、つまり、「売ってみる」ということを繰り返すことで、自分の得意な組み合わせを発見することができると思うのである。
街を歩いても、なかなか商売のヒントは見つからない。
街を歩いたり、本を読むことも必要だが、肝心なところは、結局は自分で実際に売ってみなければわからない。

事業を立ち上げる本質は、結局街をさまよったり、本を読んだり、自分のキャリアを棚卸ししたり、事業プランを作ってみたり等、そういうところにはないということです。本質は、実際やってみること、これがすべてです。行動し、反省し、行動し、反省し、そして自分のやるべきことを発見するというプロセスを踏みます。起業に関する書評なんて書いている暇があったら、実際の事業をリアルにやってみることが大切だと、書評を書きながら思いました。

人から教えを請うことの大切さ

また、和田さんは、ビジネスについて、人から教えを請うことの重要性を下記のように述べています。

ビジネスの生々しい現場の話は、本やネットには書かれていないので、最新の情報は誰かに聞くか自分でやってみて手に入れる他ない。そして、誰かに教えを請えば、多くの人は快く教えてくれる。礼儀と誠意をもって尋ねると、たいていのことは教えてくれる。
必要な人を見つけ必要なことについて教えを請うということは、一番大切なことなのではないだろうか。
自分の商売を始めて伸びていく人は、人から情報を得るのが上手であるように思う。
百軒だか二百軒高まわって断り続けられていると、一軒、二軒とそれを教えてくれる人が現れたというのである。

本質は、行動と人から生の情報を聞くことしかないとのことです。とかく、我々は人から教えを請うことを面倒だと思い、インターネットにある情報や、新聞、雑誌などの情報からいろいろな結論を導きだしそうになります。しかし、それらの情報は、企業が発信している情報が多く、ビジネスの現場とは乖離している場合が多いです。本当に事業をやるならば、生の情報こそ、必死に収集していくことが大切だと思います。

本書で感じたこと

本書で大切なことは「実行すること」「人に聞くこと」でした。他の本でも述べられていることですが、まず、事業を起こす前に、なんでもいいので、自力で事業として稼ぐ経験をした方がよいかなと思いました。事業を実際やってみてわかることが多く、その経験を小さいものでもよいのでやってみることが重要だと実感しました。



僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 (自分のビジネスを始めたい人に贈る二〇のエピソード)
著者:和田一郎
出版社:バジリコ
発売日:2015/9/18
起業、個人事業

<目次>
一章:起業にも二つの道がある
二章:最初のプラン
三章:会社を退職した日
四章:辞めると言った時の家族の反応
五章:退職直後の家計状況
六章:いったい自分に何ができるのか
七章:エスニック・ショップしかない
八章:土壇場で思いとどまる
九章:また振り出しに戻る
一〇章:そうだ、着物を海外に売ろう
一一章:自分の名前で初めてモノを売った日
一二章:一番の問題は「仕入れ」だった
一三章:ライバル登場
一四章:月商一〇〇万円を突破
一五章:僕の師匠
一六章:ハードワークな日々
一七章:メールニュースともう一人の師匠
一八章:甘ちゃん卒業
一九章:その後
二〇章:やるべきかやらざるべきか


<関連書籍>
僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと


[書評]起業をする前に知っておくべきテキスト「起業の教科書」(スタートアップ本読書感想)

本屋で起業の教科書というタイトルに惹かれて買った本。起業は興味があるのだけれど、実際どういうことなのか。起業をする前にどんな本を読んでおけばよいのか、そういったものがわかることを期待。少し立ち読みしてみた感じでは、ゆっくり読んで見たほうがよいと感じ、購読してみました。年末に読みましたが、再読。
ちなみに、このブログの書評も本書で推薦されている本をもとに読んでいるものもあります。過去から読んだものも含めると、6割ぐらい読んでいます。



7人のトップ起業家と28冊のビジネス名著に学ぶ起業の教科書
著者:大賀 康史, 苅田 明史
出版社:ソシム
発売日:2015/12/18
起業、新規事業


著者の2人は、名著の要約サービスの「フライヤー」を起業して、奮闘してきた方々です。決して、お二人はもともと起業家の王道を歩んでいたわけではなく、会社員から起業家へと変身を遂げた方です。そうした2人が記載した本社には、起業の考え方に加えて、起業に関する名著28冊の要約と日本を代表するスタートアップの7人の経営者からの起業の苦労や学んだことのインタビュー記事が記されています。最初から読んでいけば、起業することによって経験していくことが順にわかるようになてちます。

企業に対する考え方

まずはじめに、著者は、起業に対する考え方、または、働くことへの考え方が変わってきていることについて、下記のように述べています。

会社に所属している多くの人にとって、起業は一つの選択肢として常に考えるべきもので、それも新卒から定年まであらゆる年代の人が選択し得るものになっていくだろう。
今までのように定時にオフィスに出社して定時に帰る、という働き方から、各々が持つプロフェッショナルスキルを活かし、プロジェクトやミッションベースで働いていくような世界に変わっていく。

プロジェクトベースという働き方は、コンサルティングやIT等のプロフェッショナルファームでは当たり前のことになっていますが、古典的日本企業では、今でも部署単位を1つとして、働いているのが現状です。しかしながら、イノベーションなどが求められる場合は、部署という単位をなくし、プロジェクト中心としてのマネジメントのほうが向いているのではと思ったことが私はあります。さらに、著者が述べるここでの働き方の変化は、部署だけでなく、会社という単位をなくし、プロジェクトやミッションをベースにもっと、柔軟な組織形態で働いていくべきではということを提案しているのではないかと思います。

会社員から起業家への壁

さらに、会社員から起業家へ転身する人の壁について著者は述べています。

起業してからの初めの1年間は、ほとんどの経営者がお金に関する困難に直面することになるので、可能な限りの備えはしておくべきだし、生活コストを切り詰める心の準備をしておこう。

次の壁は孤独感である。サラリーマンでいたときは、似た境遇の人や仕事上近い社内の人が多いので、自然と社内で仲間意識が芽生えるもの。

学生から会社を作り、20代から成功と失敗を繰り返すような、若くして起業家となっている起業家エリートはともかく、サラリーマンから起業家になった人は、特有の壁があります。それは、それまでの経験が足かせになってしまうことによるものです。それなりの給料をもらっている人には、起業で成功するまでの財政的に厳しい生活に耐えられるか、社内の暖かな仲間意識といったものもなくなってしまいます。よく経営者や社長は孤独だといいます。最終責任は社長がもつため、最後に頼るものが自分以外しかないことによります。また、社員に対して、偏った付き合いをすると、えこひいきしている等、思わぬ展開が待っていたりするので、さらに孤独を増します。その孤独とどう付き合っていくかは確かに課題のように思います。

期限を決めること

また、奥さんなどに下記のような撤退の条件を宣言していくことの重要性も述べています。

いつまでにいくらぐらいの収入を確保できなければ、会社を諦めるという誓いをしておくおとも有効だ。私の場合は、1年間で会社の将来性を確認し、3年間で生活出来る収入を確保する、と宣言した。

期限を決めることは重要だと思います。期限を決めないとどうしてもずるずるやってしまうことにつながります。期限を決めて、その期間は死ぬ気でトライして、うまくいかなければ、すっぱりやめてしまうことも大切な考え方のように思います。

成長市場を見つける方法

事業分野の見つけ方について、本社内で、クラウドワークス吉田氏が下記のような興味深いことを述べています。

成長市場を見つけるのは社長よりも投資家の方が上手いということです。なぜなら、起業家の多くは自分が興味を持っていることにしか関心がなく、自分が関心を持っていることについて、「この分野に市場があるはずだ」と自己肯定したがる傾向が強いからです。要するに、マーケットインではなくプロダクトアウトで考えてしまいがちなのです。
一方、投資家の視点で見れば、リターンを最大化させるには一番伸びている市場に投資することが一番効率が良い方法です。彼らはさまざまな市場を俯瞰して、どの市場が一番伸びるかを常日頃から考えています。投資家の方が、成長市場を見つけるのが上手いはずだ、というのは間違っていなかったと思いますね。

あまりこういう視点は私の中でこれまでなかったのですが、確かに投資家は常に今後どの市場が伸びそうかを分析することに時間を使っています。我々はどうしても自分のかかわっている仕事の周辺しか知らず、それ以外の部分のトレンドなどはなかなかわからないものです。もちろん、日々の仕事の周辺から、他が気づいていないニーズを探しだして、起業するというのも一つの手だと思います。ただ、そのようなものが思い浮かばない場合には、他の分野も考えてみることになりますが、そこでは投資家の意見を聞いてみることが重要だとわかりました。

成長している企業とは

さらに成長している企業について下記のように述べています。

傍から見ていて思うことは、彼らは偶然が重なって成功の果実を手にしたのではなく、やはりやるべきことを着実にこなし、自分自身に厳しく、事業は慎重に進めている印象が強い。

やはり成長している企業は、やるべきことを徹底的にやり抜く。抜け道はなく、地道な内容の積み重ねと徹底こそが企業の成功の秘訣なのだと再認識しました。これは起業・新規事業に限らず、あらゆる事業で普遍的なことかもしれません。

本書で感じたこと

本書を読んで印象的だったことは、1つ目は撤退の条件を決めておくことだと思います。やはり、人間は期限がないと、時間間隔がうまくできないことがあるため、起業する時には、時間軸を強く意識したいです。もう1つは、やはり投資家との人的ネットワークを作っていくことは重要だということです。新規事業は、どうしても自分のアイデアや思い込みに固執してしまうのが世の常です。マーケット感覚を持つ人間と常にコミュニケーションをとり、その考え方を修正しながら、起業・新規事業の道を考えていきたいと思います。



7人のトップ起業家と28冊のビジネス名著に学ぶ起業の教科書
著者:大賀 康史, 苅田 明史
出版社:ソシム
発売日:2015/12/18
起業、新規事業

<目次>
1 「志」を持って、最初の一歩を踏み出そう
2 会社にいる間にしておくべき4つのこと
3 起業のアイデアを手に入れる方法
4 はじめての会社設立で注意すべき5つのポイント
5 仲間を集め、チームを育てる
6 起業1年目の商品開発力
7 3つの壁を乗り越え、サービスを広める


<関連書籍>
不格好経営

「成功の型」を知る 起業の技術


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